Pepper Shop/ペッパーショップ

Jump to content.

検索

アーカイブ

ジェラシーのアリバイ 〜月刊水中ニーソR・2017年10月号より

月刊水中ニーソR・2017年10月号より)
ウェブショップ→「月刊水中ニーソR」2017年10月号
Amazon→ 月刊水中ニーソR・2017年10月号 雑誌 – 2017/10/10


※クリックすると大型の画像が開きます。

解説:工藤健志(青森県立美術館学芸員)/展示撮影:逢坂憲吾
ロケーション:PATER’S Shop and Gallery


 ギャラリーに入って「おおっ!」と唸らされ、展示を見るうちに「ぐぬぬ!」と歯ぎしりをする。長年学芸員をやっていますが、展覧会を見て驚く機会なんてそうそうなく、内容が良くても悪くても、たいていは予想の範囲内、良い時だってせいぜい「なるほど~」とか「そうきたか」と思うくらい。しかし、この「セクハラ」展、予想の遥か上をいくもので、しかもメラメラと嫉妬心まで湧いてきたのでした(笑)。嫉妬その1、コンセプト。「セクシーハラジュク」、略して「セクハラ」ってうまいネーミングだなあと思っていたけど、「原宿」という街にひそむアイデンティティが3作家の作品をとおして鮮明なイメージとして喚起される。まさかギャラリー内の展示でここまで「原宿」のイメージアビリティを魅力的に構築できるとは! 原宿って絶えずかわいく変化を続ける「少女」のような存在なんだな、と展示から街のイメージが逆照射されていくわけです。愛らしさとちょっぴりのエロス。これ渋谷だともっと下品に感じるんでしょう(笑)。嫉妬その2、完璧なコラボ! 古賀さんの原宿の街を浮遊し、漂うニーソの女の子たち。印象的な街のストラクチャーとの物理的構成が「場」の新鮮な視覚を切り拓くと同時に、明治神宮の池を水源とする川がかつて流れていた竹下通りとその周辺(谷)に広がるこの街の、古来の「水」の記憶が呼び覚まされるかのようでした。白根さんが描く女の子は、その特徴的な領域をメリハリのきいた記号で表現し、フォルムのエッジ(orエッチ)を鮮やかに浮き立たせていきます。その間をつなぐのが米原さんの、女の子のポートレートに激しいマチエールのペイントを加えた作品群。カウンターカルチャーとしての不穏さ、猥雑さ、暴力性を感じさせつつも、どこかポップな印象を受ける現代/日本の表現です。この3作家の作品の、形、色、配置のコラボから生じる象徴的コミュニケーションの世界にどハマりしてしまい、学芸員として実に悔しかった(笑)。嫉妬その3、作品の誘惑。今回トリメガ研究所という学芸員3人のチームで展覧会を見に行ったのですが、みんな思わず作品ないしはグッズを買ってしまったという……。3人でいろんな展覧会に行くけど、こんなことは初めて。コンセプトやテーマが活きるのも作品の高いクオリティがあってこそ、と当たり前のことに改めて気づかされ、やっぱりちょっと悔しく感じた次第。こんな展覧会をいつか企画してみたいものである。

(キャプション)
(写真左)作品の中で街を浮遊するしまりすちゃんがギャラリーに登場! しかも写真と同じ出で立ちで……。ヤバイでしょ、それ(笑)。こうして並ぶと気づくけど、バナーの中のしまりすちゃんはなんと等身大。なるほど、そこから逆算された作品サイズなのですね。ということは「あそこ」も「ここ」もすべて拡大・縮小なしのジャスト100%! それを知るとまた見方も変わってきます(笑)。画面への没入感も高く、まさにVR的に楽しめる1点でした。/(写真上)目玉のひとつだった「古白米」による共同制作作品。「コラボ」というより「連歌」に近い発想から生まれたものですね。「発句」となる古賀さんの写真に白根さんがイラストで「脇」を添え、最後に米原さんが「挙句」のペイントを施す。「大人」らしい粋な遊び心に満ちた作品です。さらに、それぞれの作品がここで「合体」、「変化」し、また「分離」してそれぞれの作品に戻っていくという、展示空間での重要なワンポイントにもなっていました。合体・分離という「男の子」の欲望もここで完璧に充足(笑)。

現在、コメントフォームは閉鎖中です。


Read more

«
»