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対照の面白さが際立っていた「きみになりたい。」〜月刊水中ニーソR・2017年9月号より

月刊水中ニーソR・2017年9月号より)
ウェブショップ→「月刊水中ニーソR」2017年9月号
Amazon→月刊水中ニーソR・2017年9月号 雑誌 – 2017/9/8


※クリックすると大型の画像が開きます。

解説:本橋康治/展示撮影:逢坂憲吾/協力:青森県立美術館

 古賀学さんの美術館初展示となった展覧会「ラブラブショー2」。青森県立美術館の空間でしか成立し得ない展示構成のため、他の美術館への巡回展はなし。大きな空間の中で水中ニーソの世界を体験できる貴重な機会を目にしておくため、会期終盤に会場を訪れました。
 青森県美は2006年開館。遺跡発掘現場のトレンチ(溝)に建物をかぶせるように作られた建築デザインは、隣接する三内丸山遺跡の発掘現場から着想を得たもの。内部の展示空間も、真っ白な「ホワイトキューブ」の展示室と、土の床や壁が露出する「土」の展示室が共存するという極めてユニークなものです。
 古賀さんと美術家チェン・チンヤオさんの作品が展示されていた展示室Bは、まさにこのコントラストの妙が楽しめる展示室。古賀さん作品は白い壁に、チンヤオさんの作品は土の壁に展示されることで、両者の対照が際立っていました。
 2人の展示セクションのテーマは「きみになりたい。」。2013年のさよならポニーテール『きみに、なりたい』やピチカート・ファイヴ『きみになりたい』を思い出される読者も多いでしょう。6メートルのプールを水底から見上げる古賀さんの視点を再現するかのような水中ニーソに対し、戦闘美少女の姿に自国・台湾やアジアの社会や文化を反映させるチンヤオさんの作品。女の子という国や文化、ジャンルを横断できる強さのあるテーマを通して、アーティストの奥底にあるアイデンティティが、それぞれよく表れた展示空間となっていました。
 全体には特定のテーマを設けず、現代/文化の多様な表現を体験できる「アンソロジー」として構成された「ラブラブショー2」、美術の知識がない方でも入りやすい展示でした。それもあってか、約2カ月間の会期に1万1000人の入場者を記録したそう。現代美術を主戦場とする参加作家がほとんどで、かつ青森という立地でこの動員数を積み上げたのはかなりの反響といえるでしょう。
 本展を企画したキュレーター・工藤健志さんはこれまで「造形集団海洋堂の軌跡」(2004年~)「ボックスアート」(2006年~)などを担当。「美少女の美術史」(2014年~)にはミスター、タカノ綾さんなども参加しています。「特撮」「模型」「アニメ」「美少女」といったジャンルの表現を県立美術館という場で展示するには大変な面も多々あったはず。ボクたち好みの展示を企画してくれる貴重なキュレーターとして、今後も活躍を期待しています。

(キャプション)
(写真上)幾何学的な凸凹が組み合わされた建築も青森県立美術館の特徴。棟方志巧、寺山修二、成田亨、奈良美智など青森出身の芸術家たちの作品を、縄文から続く空気感と彼らを育てた風土の中で体験できるのが魅力です。
(写真右)『あおもり犬』をはじめ、奈良美智さんのコレクションを目指して来場していたファン、さらにシャガールのバレエ『アレコ』の背景画全4点のコンプリート展示もあってかなりの賑わいでした。常設展示でも「DIALOGUES ダイアローグズ-作家たちの対話から」と題して青森ゆかりの作家たちをペアで紹介。個人的には「成田亨×高山良策」などこちらも見所の多い展示でした。

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